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Lavandula angustifolia
Lavenderはもともと、フランスで香料のために広く栽培されてきた。
その農夫たちは、傷や火傷にLavenderの精油を用いるとよく効くことを経験的に知っていた。
香料会社の科学研究員であったルネ・モーリス・ガットフォセが、実験中の事故で火傷を負った際、出入りしていた農夫たちの言っていたLavenderの効能を思い出し 自身の傷に用いたところ、劇的にその治癒が早まった。
このことがきっかけで彼が発表した記事が『Aromathérapie』。
アロマテラピーという言葉が生まれたきっかけである。
Lavenderの効能は多岐にわたるが、アロマセラピストでなくともまず思いつくのが『リラックス作用』だろう。
ではLavenderがどのようなメカニズムで人体に『リラックス』をもたらすのか。
厚生労働省が平成26年度に行った「統合医療による肥満症治療の有効性・作用機序の検討」によると、
ラヴェンダー(Lavandura angustifolia)精油の吸入が視床下部室傍核におけるCRF(corticotropin-releasing factor)のmRNAの発現を低下させた、と報告している。
生体がストレスにさらされると、内分泌系・自律神経系の司令塔である脳の視床下部においてCRF産生ニューロンが活性化され、下垂体前葉より副腎皮質刺激ホルモンの分泌が促進される。
これにより副腎皮質からコルチゾールが分泌され、生体はストレスに対する様々な応答(血圧・脈拍を上げたり、免疫機能を低下させるなど)をするのである(図)。
ストレスに対する反応は、そもそも動物の生命を守るために必要なことであるのだけれど、これが仕事や人間関係のストレスで慢性的に作動していると、身体は常に臨戦体制「闘争か逃走か;fight-or-flight response」という状態に置かれ、疲弊していく。
LVOの吸入によるストレス緩解作用の作用点が、視床下部室傍核の神経ペプチドを介して発現している可能性が示唆された。
このような機序で、Lavenderはストレス応答を緩和=リラックスさせてくれるのだ。
Lavenderの吸入が、副交感神経作動を示す生理活性(体温・血圧・血糖の低下、消化亢進)をもたらすとの実験論文は数多く存在するが、メカニズムがわかると更に理解が深まる。
Aromatherapyは「気のせい」や「おまじない」なんかじゃない、という根拠を得ることができる。
ちなみに、先にも登場したLavenderの火傷への効能は、ほとんど全てのアロマセラピストのコンセンサスを得るところであると思うが、Lavenderの中で火傷に効く成分・メカニズムというのは何でしょう??
その答えは…
Schnaubelt PhD.著『Plant Language』をご覧ください。
きっと精油の神秘を感じられることでしょう。
Reference
・統合医療(機能性食品、運動療法、アロマテラピー、精神療法)による肥満症治療の有効性・作用機序の検討, 厚生労働省研究依託費 平成26年度 委託業務成果報告書
・Shen J. et al. Olfactory stimulation with scent of essential oil of lavender affects autonomic nerves, lipolysis and appetite in rats. Neurosci. Lett. 383: 188-193, 2005
・LSA Japan PEOT course text より
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